携帯電話のアラームが鳴った。設定音は黒電話、昔はうるさいという印象しかなかったこの音だが
最近ではもっとも目覚めとの相性の良い音である。アラームを止めると同時に時間を確認する。
6時30分、毎朝見慣れた時間。また日付だけが更新された変わり映えのない一日が始まる。
覚醒した頭とは裏腹におぼつかない足元、ユラユラした足取りで洗面所に向かいまずは嗽をする。
昔から変わらない自分だけの朝の習慣である。顔を洗うのは後回し、その後は同じくハッキリしない
足取りのまま外へ・・・一度大きく深呼吸して朝を感じ終えたらポストを開ける。
新聞に広告チラシ、何枚かの封書、文書内容は違うがいつもの朝の光景。
手を伸ばし一度に掴み取り出した腕の横から一枚の薄い紙が地面に向かい落下した。
「内定」の文字。パソコンで打ち込まれた力ない字だが、頭の中を力強く駆け巡った。
スーツ着用でデスクワークをするような企業ではない、市場へ出回る前の飲料ペットボトルの検品を業務
とする流れ作業式の工場である。理由は分からない。面接時、約十年前の学生時代に短期ではあるが
同工場でアルバイトをした経験をアピールしたのが効果的だったのか・・・もしかしたらそんなことは関係
なく自分の人間性を気に入ってくれたのか・・・どれだけ模索しても答がわかる訳ではない。だがこんなに
楽しい模索は久し振りである。
不景気という言葉を口癖と言い訳にしながら流れた約一年。
幾度となく手にしてきた同じ様な薄い紙、同じ様な文体、しかし今目の前に落ちた紙はそれらとは確実に
異質のものである。
ゆっくりと紙を拾い上げた背後から光が射した。踵を返した先に昇った太陽。
いつもより暖かく、いつもより力強く・・・
変わり映えのない一日の始まりを告げる太陽はいつもより明るく感じた。
最近ではもっとも目覚めとの相性の良い音である。アラームを止めると同時に時間を確認する。
6時30分、毎朝見慣れた時間。また日付だけが更新された変わり映えのない一日が始まる。
覚醒した頭とは裏腹におぼつかない足元、ユラユラした足取りで洗面所に向かいまずは嗽をする。
昔から変わらない自分だけの朝の習慣である。顔を洗うのは後回し、その後は同じくハッキリしない
足取りのまま外へ・・・一度大きく深呼吸して朝を感じ終えたらポストを開ける。
新聞に広告チラシ、何枚かの封書、文書内容は違うがいつもの朝の光景。
手を伸ばし一度に掴み取り出した腕の横から一枚の薄い紙が地面に向かい落下した。
「内定」の文字。パソコンで打ち込まれた力ない字だが、頭の中を力強く駆け巡った。
スーツ着用でデスクワークをするような企業ではない、市場へ出回る前の飲料ペットボトルの検品を業務
とする流れ作業式の工場である。理由は分からない。面接時、約十年前の学生時代に短期ではあるが
同工場でアルバイトをした経験をアピールしたのが効果的だったのか・・・もしかしたらそんなことは関係
なく自分の人間性を気に入ってくれたのか・・・どれだけ模索しても答がわかる訳ではない。だがこんなに
楽しい模索は久し振りである。
不景気という言葉を口癖と言い訳にしながら流れた約一年。
幾度となく手にしてきた同じ様な薄い紙、同じ様な文体、しかし今目の前に落ちた紙はそれらとは確実に
異質のものである。
ゆっくりと紙を拾い上げた背後から光が射した。踵を返した先に昇った太陽。
いつもより暖かく、いつもより力強く・・・
変わり映えのない一日の始まりを告げる太陽はいつもより明るく感じた。
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